岩木在来種
岩木在来種は、醤油漬けも美味しいです
岩木在来種とは、青森県の岩木町で栽培されていた在来種のニンニクです。
青森といえば、今では福地ホワイト六片がとても有名になっていますが、
元は同じようにそれぞれの地方で育てられていた在来種でした。
岩木在来種は、もともと各家庭で薬用に育てられていた経緯があり、
生産量は多くありませんでした。
今でも生産量は多くなく、市場に出回ることは少ない品種です。
[岩木在来種]
■岩木在来種の特徴
・色・形
見た目はホワイト六片ととてもよく似ています。
暖地系の品種に比べると少し大きめで、
ホワイト六片と同じか少し小さいくらいまで育ちます。
皮も白いので、見た目だけではホワイト六片とほとんど変わりません。
鱗片の数も、暖地系のものほど数が増えないので、
鱗片1つが小さくて皮が剥きずらいということもありません。
鱗片の皮を剥いた中も真っ白です。
・香りと味
岩木在来種は、ニンニク特有の香りと味が強く、とてもパンチがあります。
ホワイト六片は甘みも強いですが、
岩木在来種はホワイト六片ほどの甘みがなく、キリッとした辛みと強い香りで、
ニンニク好きの人も満足できる味わいです。
ニンニクの香りと味が強いため、ニンニクの香りをつけたい時にはぴったりです。
生のまま薬味として使うこともできますし、
スライスやみじん切りにして、パスタなどの香り付けにも使えます。
また、香りが強いことから、醤油漬けやみそ漬けなどにして、
調味料として使うこともできます。
■岩木在来種の栽培のコツ
基本的な栽培方法は、標準的なニンニクと同じです。
球ニンニクとしてはもちろん、葉ニンニクとしても育てることができます。
ただ、トウ立ちしても花茎が伸びないため、
茎ニンニク(ニンニクの芽)としての栽培には向きません。
葉ニンニクも香りが存分に楽しめますが、
やはり味と香りを最大限に楽しもうと思うのなら、
球ニンニクとして栽培するのがお勧めです。
種球はほとんど流通していないため、
岩木在来種を栽培している方から分けていただくのが確実です。
もともと岩木で育てられていた品種のため、寒冷地向きの品種となります。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・ニンニクの芽 栽培
・行者ニンニク 栽培
遠州極早生
遠州極早生は、12個くらいの鱗片が入っています
遠州極早生という品種のニンニクは馴染みがない少ないかもしれません。
中国から遠州極早生の系統のニンニクが輸入されていたり、
千葉や静岡で栽培されているため、比較的目にする機会の多い品種です。
スーパーなどで売られているニンニクは、品種が記載されないことが多く、
実際には、見てはいるけれど名前を知らないのかもしれません。
遠州極早生という品種は、どのようなニンニクなのかをご紹介します。
[遠州極早生]
■遠州極早生の特徴
・色・形
見た目は一般的なニンニクの形をしています。
ホワイト六片などと比べると、球自体の大きさがやや小さいです。
球の重さはだいたい50g前後ですが、
その中に12個くらいの鱗片が入っているため、鱗片の大きさは小さい部類です。
沖縄で栽培されている島ニンニクや、沖縄早生と同じように、
球が小ぶりで鱗片も小さい品種です。
皮の色は、白っぽい色をしていますが、
ホワイト六片などと比べると、少し色がついているのが分かります。
よく見ると、白というより黄色や薄い褐色をしていますが、
皮を剥いた鱗片の中身は真っ白です。
・香りと味
見た目が小さく、島ニンニクと似ていますが、味や香りは全く違います。
島ニンニクほどの強い香りや辛みはなく、どちらかというとマイルドです。
ジャンボニンニクほど香りが少ないというわけではありませんが、
ホワイト六片など、味も香りも濃厚な品種と比べると、
遠州極早生はあっさりしています。
どちらかというと、ニンニク単体で食べるような丸揚げや焼きニンニクよりも、
スライスや刻み、おろしなどにして料理に使う方が合っています。
刺激は少ないですが、生で薬味として食べることもできます。
あまりニンニクの辛みや香りが得意でない人にお勧めです。
葉ニンニクにして食べると美味(画像は紫々丸)
■遠州極早生の栽培のコツ
基本的な育て方は、標準的なニンニクの育て方と同じです。
極早生と名前に入っている通り、標準的なニンニクよりも早く収穫できます。
ホワイト六片などであれば、冬の間は深く休眠して過ごしますが、
遠州極早生は休眠するものの浅いため、冬の間も少しずつ生長しています。
冬の間も生長を続けるため、球肥りが早くなり、収穫が早くなるのです。
収穫が早くなるため、冬を越えてから与える追肥のタイミングに注意します。
少し球が小さいので、株間をやや狭くしても大丈夫です。
ホワイト六片などと比べると、伸びてくる葉も細く、
軸も細いので弱々しく見えますが、どちらも細いのが普通です。
他と比べて少し細いからといって、無理に肥料を与えたりすると、
肥料が過剰になって生育に支障が出ます。
球ニンニクとして栽培できるのはもちろんですが、
遠州極早生は、葉ニンニクや茎ニンニク(ニンニクの芽)としても栽培できます。
鱗片が小さいので、葉ニンニクとして栽培する時の株間を少し狭くして、
密植気味に育てると収量が上がります。
上海早生などは、花茎がよく伸びるので茎ニンニクとしての栽培に向いています。
遠州極早生も上海早生などに比べると、
少し花茎が短くなりますが、食べるのには十分な長さに生長します。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・ニンニクの芽 栽培
・行者ニンニク 栽培
一片種
一片種
一片種ニンニク(プチニンニク)という、分球しないニンニクがあります。
一般的なニンニクであれば、鱗片1つを植え付けると、
生育する過程で分球し、複数の鱗片がついた1つの球となって収穫されます。
ところが、この一片種は分球せず、まるで小さなタマネギのような状態なのです。
あまり見かけることのない一片種とは、どのようなニンニクなのでしょうか。
[一片種]
■一片種ニンニク(プチニンニク)の特徴
・色・形
分球せずに丸のままになるため、
一般のニンニクのように半月形の鱗片ではなく、ミニタマネギのような姿です。
皮は品種によって、真っ白だったり、
少し黄色っぽかったり、表面に赤紫が入っていたりします。
品種はいくつかあるようですが、スーパーで見かける一片種のニンニクは、
基本的には中国から輸入されたものになります。
品種によって、皮の色には少し幅がありますが、
皮を剥いた中身は、どれも真っ白です。
皮を剥いた状態だと、ころころとした栗のようでかわいらしいです。
1球としては小さいかもしれませんが、分球していない分、
他のニンニクの鱗片1つよりもずいぶんと大きいです。
そのため、料理に使う時には、1個でもそうとうな量がとれます。
・香りと味
中国から輸入されている一片種は、香りも味もマイルドです。
品種や産地により香りが強かったり辛みがあったりと、やや違いが出るようです。
私が焼肉屋さんからもらった一片種は、辛みが強く臭いも割と強めでした。
1個をそのままスライスすると、
普通のニンニクのスライスよりも大きくなるので、見栄えがします。
また大きくて丸い形を生かして、丸ごと揚げたり蒸したりする料理でも楽しめます。
風味はマイルドですが、薬味としても使うことが可能です。
1個が大きく、皮も剥きやすいので、調理に手間がかからないのも魅力です。
焼肉に美味しかったです
■一片種ニンニク(プチニンニク)の栽培のコツ
育て方は、一般的なニンニクの育て方と同じです。
一片種は、地中では一般のニンニクのような状態になることが多いようです。
中央に葉鞘があり、その周りに丸い一片種がいくつかついている状態です。
一片種を育てる時は、1個丸ごと植え付けに使います。
他のニンニクよりも大きいものを植えるので、
見た目のかわいらしさとは違う、太くて立派な葉を伸ばしてきます。
トウ立ちをすると、花茎を長く伸ばした先に花を咲かせます。
植え付けた一片種の大きさにより、花茎はかなり長くなる場合があり、
その時の草丈は1.5メートルを超えることもあるようです。
葉ニンニクや茎ニンニク(ニンニクの芽)としても利用できますが、
やはり球ニンニクとして育てるのがお勧めです。
植え付ける種球は、園芸店などではほとんど販売されていません。
ネット上のお店では取り扱いがある可能性もありますが、
今のところは種球として生産している大手メーカーはないようです。
育てるにはスーパーや直売所などで売られている、
食用の一片種ニンニクを使って育てましょう。
地域や時期によって、一片種の取り扱いがない場合があるため、
見つけた時に買っておくと安心です。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・行者ニンニク 栽培
・ニンニクの芽 栽培
壱州早生(いっしゅうわせ)
壱州早生(いっしゅうわせ)は、長崎県壱岐市が発祥のニンニクです。
一時期は、生産農家の高齢化の影響で、生産量が激減していましたが、
最近では新しく栽培する農家が増えてきているようです。
同じ暖地向きの品種である上海早生と似ている性質の壱州早生とは、
どのようなニンニクなのでしょうか。
[壱州早生]
■壱州早生の特徴
・色・形
球の重さは約50gで、スーパーなどで売られているニンニクとほぼ同じくらいです。
1球の中で、鱗片が12個前後に分かれるため、鱗片1つ1つがやや小さめです。
表面の皮の色は、白からやや黄色みがかり、皮を剥くと中は白いです。
ホワイト六片などと、球のサイズは同程度ですが、
鱗片の数が多い分、小さいのが特徴です。
上海早生とは、見た目も大きさもとてもよく似ています。
・香りと味
味も香りもマイルドで、強すぎることがありません。
生ですりおろしやスライスをして薬味としても使えますし、
刻んで料理のアクセントに使うこともできます。
味や香りが濃厚ではなく、強い癖や甘みはありません。
しかし、どのような料理の味や風味を活かし、万能に使える品種です。
ドレッシングにしても美味しいです
■壱州早生の栽培のコツ
もともと九州で栽培されていたため、暖地向きの品種です。
同じ暖地向き品種の上海早生に比べると、熟期が少し遅いです。
トウ立ちすると、花茎が40cm~70cmほどになります。
上海早生よりは短く、茎ニンニク(ニンニクの芽)として十分収穫できる長さです。
球ニンニクはもちろんのこと、葉ニンニクとしても栽培・収穫することができます。
球・葉・茎とすべての栽培が可能な品種です。
壱州早生と上海早生は、味・香り・見た目や鱗片数など、あまり差はありません。
両方の種球が手に入る場合は、熟期が早いか遅いかで選ぶと良いでしょう。
■参考
・ニンニクの収穫時期
・ニンニク 収穫方法
・ニンニク栽培 北海道
島ニンニク
島ニンニク
島ニンニクは、3~4月が食べ時の美味しいニンニクです。
最近では、地域の直売所などでも、売られている島ニンニクです。
気候も文化も様々な日本の中でも、沖縄は特に独特な雰囲気があります。
そんな沖縄で育てられる島ニンニクとは、どのようなニンニクなのでしょうか。
[島ニンニク]
■島ニンニクの特徴
・色・形
寒冷地向きの品種である、ホワイト六片などと比べると、
球全体の大きさも小さく、こじんまりとした印象です。
皮には赤紫から薄いピンク色が出ますが、
皮を剥くと中から真っ白な美しい鱗片が出てきます。
球全体が小さいにも関わらず、
島ニンニクはさらに鱗片が20個前後にもなるため、
鱗片1個の大きさがとても小さいです。
・香りと味
ニンニク特有の香りがとても強いのが、島ニンニクの特徴です。
生では辛みも強いため、ニンニクのパンチを効かせたい時にぴったりです。
鱗片1つ1つがかなり小さいため、皮を剥くのに少々手間取ります。
頻繁に島ニンニクを使うのであれば、
あらかじめ皮を剥いた状態で保存容器に入れて冷蔵庫に入れておくと、
使いたい時に自由に使えて便利です。
鱗片1個が小さいので、火を通してもほっくり感や濃厚な甘みは感じにくいです。
強い香りと辛みを、じゅうぶんに楽しむために、
生のままスライスやすりおろしにして薬味にするのが最高です。
また、強い香りを生かして、醤油漬けなどにするのもお勧めです。
葉ニンニクとしても楽しめます
■島ニンニクの栽培のコツ
球自体が小ぶりなので、ホワイト六片よりも株間をやや狭くすることができます。
密植が可能なので、同じ敷地の広さでもたくさんの株数を育てることができます。
トウ立ちをしても花茎が長く伸びないため、
茎ニンニク(ニンニクの芽)の栽培には向きません。
葉ニンニクとしては栽培・収穫ができますし、
鱗片が小さいためこちらも密植が可能です。
沖縄で育てられているニンニクのため、暖地向きの品種となります。
■参考
・ニンニクの収穫時期
・ニンニク 収穫方法
・ニンニク栽培 北海道