モラドにんにく
モラドにんにく(アホモラード) C)アンブロシア
モラドにんにくは、スペイン産のニンニクとして、
スーパーなどで売られているのを見かけることがあります。
名前は「モラドにんにく」だったり「アホモラード」だったり様々です。
「アホ」とは、スペイン語で「AJO」と書き、意味はニンニクです。
アホモラードは「AJO MORADO」と書き、モラドにんにくを指します。
つまり、モラドにんにくも、アホモラードも同じものということになります。
最近までは、あまり見かけることの少なかった注目のニンニク、
スペイン産のニンニクですが、どのような特徴のニンニクかご紹介します。
中国産ニンニク
中国産と聞くと、ニンニクに関わらず警戒する人が多いのではないでしょうか
以前は中国産であっても特に気にすることはありませんでした。
安価で安定した供給のある中国産の食品は、
生鮮はもちろん、加工食品でも便利なものとして使われていました。
中でもニンニクは、中国からの輸入品が、国産に比べるととても値段が安いため、
スーパーでは山積みとなって売られていました。
中国産の食品が敬遠されていますが、
本当に中国産のニンニクは危険なのでしょうか。
山東ニンニク
山東ニンニク C)日光種苗
山東ニンニク(さんとうにんにく)は、
中国の山東省で栽培されているニンニクです。
中国の山東省といえば、中国でもニンニクの一大産地です。
日本が輸入しているニンニクも、ここで栽培されたものが多いです。
山東ニンニクと呼ばれる品種はありますが、定義がはっきりとしていません。
山東省で栽培されているニンニクを山東ニンニクと呼んでいることもあり、
ニンニクによって見た目や香りが違う場合があります。
[山東ニンニク]
・色・形
山東省で栽培されることが多い山東ニンニクですが、
大きく分けると2種類の系統があります。
1つは山東省の金郷というところで栽培されているニンニクです。
ここで育てられているニンニクは、鱗片の形が三日月形をしています。
一般的な中国産のニンニクは、日本産に比べて鱗片が小ぶりですが、
金郷のニンニクは鱗片がやや大きめです。
辛みが弱くて、ニンニク特有の香りもマイルドなので、
日本よりもヨーロッパなどで人気が高いようです。
もう1つは同じ山東省でも蒼山というところで栽培されているニンニクです。
こちら金郷のニンニクとは正反対で、鱗片は小さくて丸い形をしています。
味も辛みが強く、ニンニク特有の香りも強いため、
生食を主とする中国や韓国で好まれているようです。
どちらも表面の皮の色は白~淡いクリーム色で、
日本のスーパーで中国産と書かれているもののほとんどは、
この山東省産のニンニクと言われています。
皮を剥いた中の鱗片の色も白色です。
・香りと味
栽培している地域によって、風味も変わります。
金郷の山東ニンニクは、香りも味もマイルドです。
反対に蒼山で栽培される山東ニンニクは、辛みも強く香りも強いのが特徴です。
好みによって使い分けたいところですが、生産地が記載されていても、
中国産としか書かれていないことが多いです。
もう少し詳しい説明でも、山東省産としか書かれていないことが多く、
表面だけでどちらの系統か見分けるのは難しそうです。
味や香りが違うため、用途も少し違ってきます。
金郷産であれば、ヨーロッパでも好まれていることから分かる通り、
料理の風味づけとして使うと特性を生かせます。
肉料理やパスタなどに使えば、口に入れた瞬間にニンニクの香りが広がります。
蒼山産であれば、強い辛みと香りを生かし、生食するのがお勧めです。
スライスやすりおろしにして薬味として使うのも良いですし、
醤油などに漬け込んで食べるのも良いでしょう。
ニンニク自体の風味が強いので、漬けた醤油などにも香りがよく移り、
漬けていた醤油のみを料理に使っても、良い隠し味となります。
山東ニンニクを漬けた醤油で刺身も美味しい
■山東ニンニクの栽培のコツ
基本的なニンニクの育て方で問題ありませんが、
どちらかというと暖地の方が栽培は向いています。
春にはトウ立ちをして花茎を伸ばすので、
ニンニクの芽として収穫することもできます。
また、葉ニンニクとして栽培することも可能で、鱗片が小さめなのを利用し、
株間をできるだけ狭くすることで、収穫量を上げることができます。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・ニンニクの芽 栽培
・行者ニンニク 栽培
高知ニンニク
鰹といえば、高知ニンニク!
高知県にも在来種のニンニクがあります。
高知、土佐といえば鰹です。
高知の人は、昔から鰹とニンニクを一緒に食べる習慣があるため、
鰹といえば土佐ニンニクなのだそうです。
高知のニンニクは、鰹の風味にもよく合うニンニクです。
[高知ニンニク]
■高知ニンニクの特徴
・色・形
高知の在来種であるニンニクは2系統あり、
どちらも鱗片の粒が大きく、皮が赤紫がかっているのが特徴です。
通常の在来種は、白い皮に赤紫が少し入る程度ですが、
赤玉種は皮全体が赤紫色をしています。
暖地向きの品種ながらも、球が大きめに育ち、鱗片数が少ないため立派です。
・香りと味
鰹との相性が抜群ですが、香りも味も強すぎるというわけではありません。
色が薄い方の在来種は、辛みが強く鰹の生臭さを消す効果が高いといえます。
反対に赤玉種は、風味がややあっさりしているため、
初鰹のようにややあっさりしたものと相性が良いようです。
生で薬味として食べる以外にも、
一般的なニンニクのように、料理の風味づけに使うこともできます。
鱗片が大きいので、蒸したり焼いたり揚げたりして、
ニンニク単体で食べるのもお勧めです。
■高知ニンニクの栽培のコツ
高知ニンニクの育て方は基本通りです。
ただ、高知の在来種はどちらも早生の性質を持っているため、
年が明けてからの追肥は早めにしておいた方が良いでしょう。
特に赤玉種の方は、5月上旬に収穫できるため、追肥が遅れると味に影響します。
鱗片が大きく、風味も良いので球ニンニクとして育てますが、
葉ニンニクや茎ニンニク(ニンニクの芽)としても育てることができます。
赤玉種の方は葉ニンニクとして育てられることも多いようです。
どちらの品種も花茎が伸びるので、茎ニンニクとして栽培できますが、
スーパーで売られている輸入ものの茎ニンニクのように、まっすぐは伸びません。
球ニンニク、葉ニンニク、茎ニンニクと、
どの部位を収穫するにも適しているオールラウンダーです。
高知で育てられている品種のため、暖地向きの品種となります。
また、種球はほとんど流通していないため、
栽培している人にゆずってもらうか、
発芽抑制処理をしていないものを購入し種球にする必要があります。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・ニンニクの芽 栽培
・行者ニンニク 栽培
岩木在来種
岩木在来種は、醤油漬けも美味しいです
岩木在来種とは、青森県の岩木町で栽培されていた在来種のニンニクです。
青森といえば、今では福地ホワイト六片がとても有名になっていますが、
元は同じようにそれぞれの地方で育てられていた在来種でした。
岩木在来種は、もともと各家庭で薬用に育てられていた経緯があり、
生産量は多くありませんでした。
今でも生産量は多くなく、市場に出回ることは少ない品種です。
[岩木在来種]
■岩木在来種の特徴
・色・形
見た目はホワイト六片ととてもよく似ています。
暖地系の品種に比べると少し大きめで、
ホワイト六片と同じか少し小さいくらいまで育ちます。
皮も白いので、見た目だけではホワイト六片とほとんど変わりません。
鱗片の数も、暖地系のものほど数が増えないので、
鱗片1つが小さくて皮が剥きずらいということもありません。
鱗片の皮を剥いた中も真っ白です。
・香りと味
岩木在来種は、ニンニク特有の香りと味が強く、とてもパンチがあります。
ホワイト六片は甘みも強いですが、
岩木在来種はホワイト六片ほどの甘みがなく、キリッとした辛みと強い香りで、
ニンニク好きの人も満足できる味わいです。
ニンニクの香りと味が強いため、ニンニクの香りをつけたい時にはぴったりです。
生のまま薬味として使うこともできますし、
スライスやみじん切りにして、パスタなどの香り付けにも使えます。
また、香りが強いことから、醤油漬けやみそ漬けなどにして、
調味料として使うこともできます。
■岩木在来種の栽培のコツ
基本的な栽培方法は、標準的なニンニクと同じです。
球ニンニクとしてはもちろん、葉ニンニクとしても育てることができます。
ただ、トウ立ちしても花茎が伸びないため、
茎ニンニク(ニンニクの芽)としての栽培には向きません。
葉ニンニクも香りが存分に楽しめますが、
やはり味と香りを最大限に楽しもうと思うのなら、
球ニンニクとして栽培するのがお勧めです。
種球はほとんど流通していないため、
岩木在来種を栽培している方から分けていただくのが確実です。
もともと岩木で育てられていた品種のため、寒冷地向きの品種となります。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・ニンニクの芽 栽培
・行者ニンニク 栽培