中国産ニンニク
中国産と聞くと、ニンニクに関わらず警戒する人が多いのではないでしょうか
以前は中国産であっても特に気にすることはありませんでした。
安価で安定した供給のある中国産の食品は、
生鮮はもちろん、加工食品でも便利なものとして使われていました。
中でもニンニクは、中国からの輸入品が、国産に比べるととても値段が安いため、
スーパーでは山積みとなって売られていました。
中国産の食品が敬遠されていますが、
本当に中国産のニンニクは危険なのでしょうか。
[中国産ニンニク]
■中国産ニンニクが危険な理由
今は「中国産」という言葉を聞いただけで、
表情を険しくする方もいるほど、中国産の食品に敏感になっています。
家電製品などであれば、粗悪なものを購入したとしても、まだ諦めはつきます。
けれど食品となると、直接自分たちの口に入るものなので、敏感になります。
それでも、スーパーには中国産のニンニクが並んでいます。
中国産のニンニクが、なぜ危険だといわれるのか、理由を考えてみましょう。
・農薬
日本では、野菜などを育てる時に使える農薬などが決められています。
人体に影響のあるものは使用禁止になっています。
ところが、中国では使える農薬の基準や、使用料の基準は日本とは異なります。
日本では使用が禁止されている農薬が使われていたり、
使用限度を超えた量を使っている場合もあります。
そのため、作物に残った農薬、いわゆる残留農薬が多く、危険視されています。
少し前、中国で育てられているスイカが爆発したり、
亀裂から泡を吹いたりすることが、新聞やニュースに取り上げられました。
ニンニクを栽培する時にも、日本では考えられないような薬を使ったり、
多量の農薬を使っている可能性がぬぐえません。
・防腐、防カビ、発芽抑制剤
収穫したニンニクを輸出する際、輸送中に腐敗やカビの発生がないよう、
防腐剤や防カビ剤が振りかけられている可能性があります。
また、ニンニクは初夏に収穫し、数ヶ月後には休眠から覚めて芽を出します。
芽の出てしまったニンニクは商品価値がなくなるため、
芽を出さないように発芽抑制剤が使われている可能性があります。
発芽抑制剤は、以前は日本でも使用されていたことがありましたが、
現在は使用が禁止され、別の方法で発芽抑制できるように工夫されています。
・土壌汚染
中国産の作物でもっとも深刻なのが、土壌汚染です。
日本でも50年~60年ほど前、高度経済成長とともに公害が多発しました。
これと同じことが、今、中国では起こっているのです。
汚染された土壌には、公害病の原因となる成分が流れ込み、蓄積されています。
この成分を吸いこんだ作物を口に入れると想像すると不安になります。
中国産 にんにく1kg C)生姜工房
■中国産ニンニクは安全?
残留農薬や土壌汚染のことを考えると、中国産ニンニクを避けたくなります。
けれど、国産ニンニクが高価であることに変わりはありません。
中国産のニンニクが、ネットに3個以上入って100円ほどなのに比べ、
国産は1球で300円ほどです。
この値段差がある状態で横に並べられていると、
どうしても危険と分かっていても、中国産のニンニクに心が揺らぎます。
では、本当に中国産のニンニクがすべて危険なのでしょうか。
最近スーパーで見かけるのようになったのが、
中国産ニンニクでありながら、JASの有機認定の印がついているものです。
JASは日本農林規格というもので、
決められた項目をクリアしたものしか、JASマークをつけることができません。
その決められた項目の中には、
栽培する2年前から、禁止された農薬などを使用していないこと、
栽培中も禁止されている農薬などを使用していないこと、などがあります。
また、指定農家には1年に1回調査を受けることになります。
これなら、日本で禁止されている農薬を使われることなく、
栽培されたニンニクを手に入れることができます。
それでも気になるという場合は、国産ニンニクか、
中国以外の国から輸入しているニンニクを選ぶしかありません。
最近ではスペイン産のニンニクが、スーパーに並んでいるのを見かけます。
また、スーパーだけでなく、直売所などであれば、
国産のニンニクが格安で手に入ることができます。
■こんな中国産は大丈夫?
中国産のニンニクと同様、年中スーパーに並んでいるのが、ニンニクの芽です。
ニンニクの芽は、ニンニクの鱗片から出た芽ではなく、ニンニクの花茎のことです。
ニンニクは、生長の途中で花茎を伸ばします。
その後、土中の球部分が肥大して収穫されるのですが、
この花茎部分もニンニクの芽として収穫できます。
ニンニクの芽は、基本的に中国産となっています。
これは、中国ではニンニクの芽用の品種を栽培しているためです。
ニンニクの芽は、ニンニクを栽培する時に出る副産物のようなものですが、
ニンニクの品種によっては、花茎がほとんど伸びないものや、
伸びてもぐにゃぐにゃと曲がってしまうものがあります。
国産で人気のホワイト六片種は、栽培環境により花茎が出たり出なかったりします。
安定して流通させるためには、安定した収穫が必要となるため、
まだまだ国産のニンニクの芽は珍しいものとなっています。
どうしても中国産のニンニクの芽に抵抗がある方は、
少ないながらも国産のニンニク芽が販売されています。
近所のスーパーになくても、インターネット通販なら購入が可能です。
また、ニンニクをみじん切りやすりおろした後、
しばらく放置していたら緑色になってしまうことがあります。
これは中国産ニンニクのせいだと思う方がいますが、
これは中国産かどうかは関係ありません。
ニンニクの中に含まれる鉄分が空気と反応し、
緑色になっているだけなので、薬品等が関係しているわけではありません。
中国産がすべて絶対にダメ、というわけではありませんし、
何か奇妙と感じるような現象が起きたとしても、
必ずしも農薬のせいというわけでもありません。
中国産のニンニクでも、特別栽培農産物(農薬や化学肥料をおさえている)や、
発芽抑制剤を使わず温度処理で、芽止めしているものもあります。
何が良くて何がダメなのか、きちんと判断できることが、食の安全の第一歩ですね。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・行者ニンニク 栽培
・ニンニクの芽 栽培