ニンニク 変形球
ニンニク変形球
ニンニクは、植え付けから収穫までにかかる時間が長いです。
秋に植え付けをして、収穫は翌年の初夏頃になる上、
収穫目的のニンニクの球は、地下に育ちます。
栽培期間中は地下がどのようになっているのか見えないため、
収穫するその時まで、ドキドキします。
ところが、いざ収穫してみると、思ったような球に生長していない時があります。
本来の姿ではなく、どこか形がおかしい「変形球」になっていることがあるのです。
ニンニクの変形球は、なぜ起こるのでしょうか。
[ニンニク 変形球]
■主な症状
・球割れ
ニンニクの球は、表皮に覆われています。
球割れの症状が出ているニンニクは、表皮が破れ、中の鱗片が見えた状態になります。
球割れの症状の程度は様々で、軽ければ表皮が軽く割れているくらいで済みますが、
ひどい時は軸の中心が見えていたり、ほぼ表皮がないことがあるほどです。
・分球不良
ニンニクは、複数の鱗片が集まって、1つの球になります。
なのに、収穫したニンニクの皮を剥いてみると、鱗片が分かれておらず、
1つの塊になっていることがあります。
これが分球不良の症状です。
ニンニクにも色々な品種があり、中には一片種と呼ばれるものもあります。
一片種の場合、分球しないのが普通ですが、
一般的なニンニク品種の場合は、分球して複数に鱗片が分かれているはずです。
分球不良になったニンニクは、小さなタマネギのような形をしています。
香りや味がやや薄い場合もありますが、食べる分には問題ありません。
・一片突き出し
ニンニクの鱗片は、多少の大きさの違いはあるものの、
全体的には同じくらいのサイズに育っていることがほとんどです。
ところが、栽培中の状況によって、1部の鱗片だけが大きく肥大していたり、
凹んで平面になっていることがあります。
こういった状態のニンニクを、一片突き出しと呼びます。
極端に肥大するのは、1片だけとは限りませんが、飛び出す方向は似通っています。
■主な原因
・球割れ
球割れをする原因は、いくつかあります。
1つは収穫遅れです。
球が肥大して成熟した後、収穫適期よりも遅れて収穫すると、
皮が破れて球割れ状態となります。
2つめは、肥料過多によるものです。
特にチッソが多い状態が続くと、生長過剰になり、球割れを起こします。
3つめは、マルチ栽培などによる、急激な温度上昇です。
特に春以降は、日中の気温が上がりやすくなります。
春は球が肥大する時期のため、温度上昇によって生長が促進されすぎてしまい、
表皮が破れ、球割れとなります。
・分球不良
一般的なニンニク品種の場合、3月~4月が分球の時期となります。
この時期よりも早くに収穫すると、ニンニクの球は分球まで達しておらず、
一片のままとなります。
また、病害虫の影響により、分球期よりも前に地上部が黄変したり枯れこんできて、
早期に収穫した場合も、分球前の収穫となるため一片状態となります。
・一片突き出し
一部が扁平になったり、妙に鱗片が肥大する時の原因の多くは、
芽が2本立ちしているせいです。
ニンニク栽培の初期に、地上に芽が出てくる頃、
1か所から2本以上の芽が出てくることがあります。
この時、芽を1本にする芽かきを行います。
この芽かきをしなかった、あるいは芽かきが不十分で2本立ちになってしまうと、
狭いエリアで2株がくっついて育ちます。
この時、隣接している部分が丸く肥大せず、扁平になり、
他の鱗片は押し出されたように一部が極端に肥大します。
■対策
・栽培環境や方法を見直す
変形球の発生は、基本に沿った栽培を行うことで、ある程度は抑えられます。
収穫適期を守り、適切な肥料管理を行えば、球割れの発生は減らせます。
気温上昇に関しても、トンネルやマルチを春以降は撤去するなどすれば、
簡単に調整できます。
分球不良に関しても、極端に早い収穫を避け、
病害虫の防除にも気を付けていれば、分球不良となる原因を取り除けます。
一片突き出しは、芽かきを行うことで、簡単に抑えられます。
■判断基準
変形球は、見目が悪くなるものが多いので、秀品率は下がります。
けれど、家庭菜園で楽しむのであれば、秀品率は特に問題にはなりません。
変形球は生理障害ですが、食味に大きく影響することも少ないので、
食べる分には問題ありません。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・行者ニンニク 栽培
・ニンニクの芽 栽培