ニンニク品種改良
ニンニクには、さまざまな品種があります
日本国内だけでなく、中国やイタリアなどのヨーロッパ諸国、その他の諸外国でも、
ニンニクは古くから親しまれていたため、たくさんの品種が存在します。
これだけ人気があり、古くから利用されてきた野菜にも関わらず、
他の野菜に比べると、ニンニクの品種改良は盛んではありません。
現在、日本で育てられているニンニクも過去に品種改良をされたものです。
しかし、ニンニクの品種改良は、なぜあまり進んでいないのでしょうか?
[ニンニク品種改良]
■ニンニクと品種改良
ニンニクを育てたいと思い立った時、植え付けの適期頃であれば、
ホームセンターなどで種球が販売されています。
最近では、家庭菜園でのニンニク栽培も人気があるので、
エリアも広くとられていることがあります。
ニンニクの種球が並んでいるところで、
実際に種球を見ていると、品種数の少なさに気が付くと思います。
ほぼ同時期に育てるタマネギは、種売り場で多くの品種が並んでいるのに比べ、
ニンニクは多くても数種類ということが多いです。
紫々丸、関東で育てるときは葉ニンニクが美味しいです
日本で人気が高い、ニンニクの代表品種でもあるホワイト六片、
沖縄発の品種である島ニンニク、その他、平戸や紫々丸などが主な品種です。
そもそも、ニンニクは暖地向きの品種と寒冷地向きの品種があるため、
地域によって販売する品種が異なるのも、品種数の少なくなる理由の1つです。
それでも、同じ暖地や寒冷地で育てられるものもたくさんあるのに、
こういった代表的なものしか置いていないことが多いですね。
ではネット通販ではどうかと調べてみても、
やはり珍しい品種を扱っているお店はなかなかありません。
実はニンニクは、品種改良がほとんどされていない野菜なのです。
正確には、品種改良するのがとても難しい野菜なのです。
品種改良を行うためには、性質の異なる親株を2種類用意する必要があります。
その親同士で受粉させ、種をつけさせて採取し、栽培して特徴を固定していきます。
ニンニクの花
ところが、ニンニクは花を咲かせることがまずありません。
稀に花が咲いても、受粉して種を作ることがほとんどありません。
さらにニンニクは品種により、抽苔しても葉鞘の外まで花茎が伸びないものもあります。
これでは種からの繁殖や品種改良はできません。
ニンニクは種による繁殖ではなく、地下の球を分けた鱗片から増やします。
鱗片と鱗片では、性質が異なっていても掛け合わせることは難しく、
結果として品種改良は困難となりました。
親から採取した種を栽培し、そこから種をとって栽培すると、
必ず同じ性質のものができるようになると、固定種と呼ばれるようになります。
親から採取した種を栽培し、そこから種をとって栽培しても、
親とは同じ性質にならないものが、F1と呼ばれるタイプです。
ニンニクにはこのF1と呼ばれるタイプがありません。
それは、品種改良が進んでいないことの証でもあります。
ニンニクにF1はありませんが、株によって多少の優劣が出ることがあります。
人が栽培したり食べる時に有益な特性をもったものを選抜し、
特定の品種とすることがあります。
もともとは地方で栽培されてきた伝統野菜の1つであっても、
選抜を重ねて特性を固定化させたことで、
別の品種名となって売り出されているニンニクもあります。
ジャンボニンニク、育てやすく本当に大きいです
■ジャンボニンニクと無臭ニンニク
ニンニクは品種改良が難しい野菜ですが、実は改良できるものもあります。
それがジャンボニンニクや無臭ニンニクと呼ばれている品種です。
一般的なニンニクよりも大きく、特有の臭いが少ないことで、近年人気が高まっています。
これらの品種は、一般的なニンニクと違い、花を咲かせて種をつけます。
そのため、ニンニクに比べると品種改良がしやすい特徴があります。
ただ、ジャンボニンニクや無臭ニンニクは、厳密にはニンニクの仲間ではありません。
どちらかというと、リーキという西洋ネギの仲間とされています。
ネギの仲間であるため、ネギ坊主のような花を咲かせ、種をつけやすいのでしょう。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・ニンニクの芽 栽培
・行者ニンニク 栽培