ニンニク 発芽抑制
ニンニクの天日干し
ニンニクは、栽培期間が長い分、うまく保存すれば貯蔵期間も長くなる野菜です。
けれど、せっかく貯蔵していたニンニクも、いつの間にか芽を出していることがあります。
ニンニクは芽が出たからといって、食べられないわけではありませんが、
鱗片部分の乾燥が進んだり、痩せたりする原因となるため、
できるだけ発芽は抑制したいものです。
ニンニクの発芽は、どうすれば抑制されるのでしょうか。
[ニンニク 発芽抑制]
■ニンニクの発芽
そもそも、ニンニクはなぜ長い間芽が出ずに貯蔵ができるのでしょうか。
ニンニクには、生育する期間と休眠する期間があります。
ニンニクにとって高すぎる気温の間や、低すぎる気温の間は、
休眠状態となって過ごすため、芽が出なくなります。
ニンニクの芽が出やすい温度は、15度~20度です。
日本の気候で考えると、春と秋は生育しやすく、
夏と冬は休眠しやすい時期ということになります。
日本では、秋に植え付けをして育て始め、
冬を越して初夏~夏にかけて収穫する作型が基本です。
そのため、収穫後は気温が高くなって休眠しているため、
芽が出ずに貯蔵ができるのです。
ところが、真夏が過ぎて気温が徐々に下がり始めると、
今度は休眠からさめて生育のスイッチが入るため、芽が出るようになります。
その頃には、また栽培の時期となっているため、また植え付けを育てますが、
栽培に使わないニンニクの場合、芽が出るので使えなくなることが増えるのです。
農家のニンニク乾燥
■ニンニク 発芽抑制
ニンニクの発芽抑制をするためには、いくつかの方法があります。
貯蔵前に行う処理や、貯蔵に適した環境を作ることによって、発芽が抑制できます。
・薬剤による発芽抑制
植物の発芽抑制剤にも種類はありますが、
ニンニクに使える発芽抑制剤も、かつてはありました。
ところが、その薬剤の販売が中止されたため、
現在はニンニクに使える発芽抑制剤がありません。
以前は輸入ニンニクだけでなく、国産ニンニクにも使われていたことがあったそうですが、
現在は国産ニンニクで使用されることはありません。
薬剤による発芽抑制は、ある意味手軽ではありましたが、
その分リスクもあったということなのでしょう。
現在は薬剤に変わる発芽抑制法を模索しているようです。
・高温処理による発芽抑制
薬剤に変わる発芽抑制法として、現在主流となっているのが、
高温処理による発芽抑制です。
通常、ニンニクを収穫後に乾燥させる時は、
35度前後の温度に合わせて乾燥させます。
35度でも十分高温のように感じますが、
さらに温度の高い38度の環境下に2週間置くことによって、
発芽抑制の効果があるという実験結果が出ているようです。
十分に乾燥させた後、38度の高温に2週間置くことで、
通常よりも発根が6週間、発芽が10週間ほど遅れるそうです。
高温処理をしたからといって、絶対に発芽しないというわけではありませんが、
10週も発芽を遅らせることができれば、
貯蔵できる期間も10週長くなるということになります。
ただし、あまり長く高温に置いておくと、過度に乾燥する原因となります。
ニンニクは収穫後に乾燥することで保存がきくようになりますが、
乾燥させすぎると、水分が抜けすぎて鱗片がスカスカになります。
家庭では、このような乾燥方法も愛らしいです
・低温保存による発芽抑制
ニンニクは、生育温度は上回るか下回る気温になると、
生育が止まって休眠状態となります。
高温処理の場合は、一定期間高温に当てることで発芽する時期を遅らせる方法です。
それとは反対に、生育できない低温に置くことでも、発芽抑制ができます。
-2度くらいの低温に置くことで、ニンニクは生育ができずに休眠状態を保ちます。
-3度になると、低温障害を起こしやすくなるため、-2度くらいがちょうど良いそうです。
低温による貯蔵は、高温処理のように発芽を遅らせるというよりは、
発芽させずに貯蔵するための方法です。
できるだけ長い期間貯蔵しておきたいという場合は、低温での保存がお勧めです。
農家など、年間を通して貯蔵・出荷する場合も、
低温保存が用いられていることがほとんどです。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・行者ニンニク 栽培
・ニンニクの芽 栽培