抽苔とは?
ジャンボニンニクの抽苔
家庭菜園をしていると、野菜の育て方を頻繁に調べてしまいます。
そんな時、説明の中に「抽苔(ちゅうだい)」「トウ立ち」、
という言葉が出てきたことはありませんか?
特に野菜を育てる時によく使われる言葉ですが、
抽苔とはどのようなことを指すのでしょうか。
[抽苔とは?]
■抽苔とは?
抽苔とは、植物の花茎が伸びてくることで、「トウ立ち」と呼ばれます。
おもに野菜を栽培する時に使われる言葉です。
ハクサイやレタス、ホウレンソウなどの葉物野菜を始め、
カブやダイコンなどの根菜類も花茎が伸びてくる状態のことを抽苔と呼びます。
ニンニクやタマネギなどのいわゆるネギ坊主も抽苔した結果です。
抽苔するということは、植物が生殖生長している状態、
つまり種を残そうとしていることのあらわれです。
ちなみに抽苔は花茎が伸びてくることを指していて、
花芽が形成されることを「花芽分化」と呼びます。
よく混同されますが、正確には別の現象です。
抽苔して花芽分化します、ダイコン
■抽苔のスイッチ
植物が抽苔する、つまり生殖生長に入るにはスイッチがあります。
何がスイッチになるのかは、植物によって変わります。
抽苔へのスイッチには何があるのかを見てみましょう。
・低温に当たる
一定の期間、低温に当たることで抽苔が始まります。
このタイプには2種類あり、1つは種の状態から一定期間寒さに当たる場合。
もう1つは、ある程度生長してから一定期間寒さに当たる場合です。
ハクサイ、ダイコン、ミズナ、チンゲンサイ、カブなどは、
種を播いた時点から一定期間の寒さを経ることで抽苔します。
タマネギ、ネギ、キャベツ、ブロッコリーなどは、
ある程度苗が大きく育ってから寒さに当たることで抽苔します。
そのため、冬越しをしてから収穫するタマネギなどは、
冬になるまでにあまり大きく育てない方が良いとされています。
ニンニクの花
・日の長さ
1日のうちの日の長さが変わることで、抽苔する植物です。
ホウレンソウ、シュンギク、レタスなどがこれに含まれます。
日の長さが12時間を超えることにより、抽苔のスイッチが入ります。
そのため、本来は日が短くなる時期であっても、
夜間の外灯の明かりなどにより、日が長いと勘違いして抽苔することがあります。
このタイプの植物は、外灯のない場所で育てることで、
変な時期に抽苔してしまうのを防ぐことができます。
・株が充実
株が大きくなって充実することで、抽苔するものもあります。
ナスやトマト、ジャガイモといったものがそうです。
いわゆる果菜類と呼ばれるもののほとんどが、
株が充実することで抽苔して花芽分化し、花を咲かせるようになります。
株の充実具合によるため、日の長さや気温は関係ありません。
ネギ坊主、天ぷらが美味!
■抽苔しても食べられる
抽苔した植物は、栄養生長から生殖生長に移行した状態で、新しい枝葉を出しません。
野菜などであれば、本来は新しい枝葉を出すことで、
若く柔らかいものを収穫して食べることができます。
ところが、生殖生長に切り替わることで、
新しい枝葉がほとんど出ることがなくなってしまい、
残っているのは古くて硬いものばかりという状態になります。
古い枝葉は硬く、筋張っていることが多く、食べるのには向きません。
そのため、抽苔した野菜は、早期に花茎を切り取って生殖生長を止めるか、
収穫をやめて種を取る方に力を注ぐようにします。
葉物野菜ではない、ダイコンなどの野菜も、抽苔して生殖生長が進んでしまうと、
根の部分にスが入ってしまい、筋張って食べるには難しくなっていきます。
そんな中で、抽苔した部分を収穫するものもあります。
それが、菜の花です。
菜花、つぼみのときが美味しいです
菜の花はアブラナ科の植物が抽苔し、
伸びた花茎の先に花芽がついた状態で収穫し、食べる野菜です。
アブラナ科の野菜であれば、抽苔して伸びる花茎はほとんど食べることができます。
菜の花といえばアブラナの花茎をイメージしますが、
同じアブラナ科であるハクサイやダイコン、チンゲンサイなどの、
花茎も収穫して食べることができます。
おもしろいのが、それぞれに少しずつ風味が異なることです。
もし抽苔してしまったものが出てきたら、葉や根を収穫するのをやめ、
花茎をわざと育てて菜の花として収穫するのも面白いかもしれません。
■参考
・ニンニク 地植えの栽培
・ニンニク プランターの栽培
・ジャンボニンニクの栽培
・ニンニクの芽 栽培
・行者ニンニク 栽培
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